エモリエント効果とモイスチュア効果の保湿力の違いとは?
エモリエント効果とモイスチュア(モイスチャー)効果の”保湿力の効果”に違いがあること知っていますか?
保湿剤入りのスキンケアを選ぶ時、保湿剤がエモリエント成分なのか、モイスチュア効果のある成分なのか、間違って選んでいると、肌荒れの原因にもなりかねません。
エモリエント効果とモイスチュア効果の違いを正しく知っておけば、今よりもぷるぷるなお肌になっていくかもしれませんよ!
エモリエント効果とは?
肌(皮膚)の表面のバリア機能が弱い場合、紫外線を始めとした様々な外的刺激を受けやすく、水分も蒸発・蒸散して肌荒れの原因ともなります。
本来、健康的な肌の人の場合、自らの皮脂で肌にバリア効果を出して守っています。
(顔がテカテカになりやすい場合、天然の皮脂で覆うことで、バリア機能を高めようとしているのです。 )
ところが、皮脂が出過ぎると、見た目の問題だけでなく、雑菌が繁殖したり、毛穴が詰まりやすくなります。
そのため、皮脂過多の場合、エモリエント成分配合のクリームを使用すると、ますます肌トラブルが増えることがあります。
逆に、皮脂が出難いと、外的刺激を受けやすくなります。
肌荒れをしやすい人、敏感肌・乾燥肌の場合、皮膚を守るバリア機能が上手く調節できていないため、肌内部の水分を逃がしてしまっているのです。
そこで、乾燥肌が気になれば、保湿クリームなどで皮膚の表面を覆い、肌を守ろうとしていますよね。
このような肌の表面で、水分の蒸散・蒸発を防ぐことを”エモリエント効果”と言います。
エモリエント効果は、肌の表面を覆い、蓋をしたような状態で、水分が逃げるのを守ろうとします。
そのため、エモリエント効果がある成分を塗った後は、水分をはじいてしまいますので、
エモリエント成分配合の乳液やクリームを塗った後に、水溶性の美容液を塗ったり、ミストシャワーなどを吹きかけても、肌の内部に届かないことがあります。
エモリエント成分配合のスキンアイテムは、最後の仕上げに塗るように、塗る順番を考えなければいけません。
また最近では、肌の表面に膜を張るだけではなく、ラメラ構造の分子(脂質ー水分ー脂質となっている分子:※詳しくはサイト内記事「ラメラ構造の仕組み」をご覧ください)のような形で、水分の蒸発を防ぐ構造になっているスキンアイテムも登場しています。
その場合も、後から、水分系の美容液を使用すると馴染みが悪く感じることがあります。
エモリエント成分の効果や注意点について
エモリエント成分は、水分が逃げないように蓋をしてくれますので、肌の水分量が保持されると同時に、ラップ効果で、皮膚を柔軟にしてくれる作用もあります。
エモリエント成分で肌をバリアできれば、外的刺激から守ることがでますし、その結果、肌の悩みである乾燥肌、小じわ、ハリ不足の対策にもなります。
しかし、エモリエント効果のある成分を肌にたっぷり塗らない方がいい人もいます。
例えば、蒸散・蒸発するほどの水分が肌の内部に存在していない場合(=肌内部の乾燥程度がひどい状態)、いくら肌をコーティングして守っても、蒸発しようがありませんよね。
実は、私の体験談としても、インナードライ肌(肌の水分量19%・最低正常ラインは30%以上)という状態で、エモリエント成分メインのスキンケアのみを使用してみたら、2~3日で、肌が赤く炎症を起こすようになってしまいました。
でも、その後、肌の奥に潤いを届ける成分の配合されたミストや化粧水などを加えてから、同じスキンケア化粧品を使い続けたら、炎症は自然と治まり、もっちり肌になることができました。
その時、肌の水分量を確認してみたところ、通常肌の水分量19%だったところ、水分量35%を保持できるようになっていました。
最低正常ラインは30%以上なので、触ると今までに無かったもっちり感がしたわけです。
商品トラブルではなく、私の肌のお手入れが間違っていたということですね。
また、ほかにも、自らの皮脂を過剰に作りやすい「過剰皮脂の状態」の肌や、「ニキビ肌の人」も、肌を保湿剤でコーティングされることにより、毛穴を詰まらせる原因になることもあります。
エモリエント成分が配合されたスキンケアアイテムを使用し始めたら、「ニキビが出やすくなった」「毛穴が開いてきた」という場合は、使用する量を減らしたり、中止したり、使用量を調節すると肌の調子が良くなることがあります。
代表的なエモリエント成分とは?
エモリエント剤の多くは、植物油脂や動物油脂などの天然油脂類のほか、
それらの動植物の天然油脂やロウ(ワックス)類から精製分離された高級アルコール、長鎖脂肪酸、脂肪酸エステル、ラノリン、リン脂質などの油脂類などが使用されています。
例えば、化粧品保湿成分として、次のような成分がエモリエント成分としてよく使われています。
オリーブ果実油、セラミド、オレイン酸、スクワラン、シア脂、ツバキ種子油、ツバキ油、馬油、ホホバ種子油、ホホバ油、アボカド油、ひまわり油、アルガオンオイル、コメヌカスフィンゴ糖脂質、カカオバター、ワセリン、長鎖脂肪酸、脂肪酸エステル、ラノリン、リン脂質などが挙げらます。
また、成分表の終わりごろにこれらの成分がある場合、保湿目的というよりも、保湿クリームなどを安定化させる働きを目的に配合されていることもあります。
おもに、仕上げのクリームやオールインワン、最近では、クレンジングや洗顔などにもに配合されていることがあります。
モイスチュア効果とは?
一方、よく保湿クリームやジェル、美容液などに、”モイスチャークリーム”というようなモイスチュア効果をイメージさせるような商品名のスキンケアがよくありますよね。
このような商品名に”モイスチャー”効果をイメージさせるスキンケア商品の多くは、エモリエント効果による保湿対策成分よりも、”肌に潤いを与えるための成分”の方がメインに配合されていることが多いのです。
いわゆる蒸散・蒸発を防ぐのではなく、水分自体を、肌(角質層)の奥に浸透させてあげる成分のことですね。
「保湿」を目的に用いられる成分を、「保湿剤」または「モイスチャライザー」と呼ぶため、分かりやすく”モイスチャー”という言葉がネーミングに含まれていると考えられます。
また、皮膚に水分を与え乾燥から守る吸湿性の高い水溶性の成分を、「ヒューメクタント」と呼ぶ場合もあり、グリセリン、乳酸、PCA-Na(ピロリドンカルポン酸ナトリウム)、アミノ酸、ソルビトール、尿素などが挙げられます。
グリセリンについては、セラミドやヒアルロン酸などに比べ保湿力は劣るものの、安全性は高く、皮膚への刺激を及ぼす可能性は低いため、保湿化粧品の成分表を見ると、汎用的に使用されていることが分かります。
グリセリンは、水を吸着する性質を持ちますが、
水分を抱え込んで保湿する代表的なものには「ヒアルロン酸」や「プロテオグリカン」などがあります。
コラーゲンやエラスチンも含めた、この4つの成分も、”ヒューメクタント”に分類されることがあります。
このように、皮膚の表面ではなく、角層細胞内にある天然保湿因子(NMF)まで浸透し、保湿効果をもたらすものが、モイスチャライザー=モイスチャー効果として、エモリエント成分と区別された表現になっています。
一般には、配合比率が違うだけで、エモリエント剤とヒューメクタントの両方の保湿剤が配合されていることが多いです。
自分の肌に合った黄金比率は、人それぞれ、肌の状態や季節により異なることになります。
ヒューメクタント・モイスチュア効果に多く使用されやすい代表保湿成分とその他の保湿成分
☆ヒアルロン酸・・・水分をゲル化する能力に優れ、1gあたり最大6リットルという保水力を持っています。水分を保持したヒアルロン酸は真皮の中でクッションの役割を果たし、真皮の網目構造の柔軟性維持を助けて皮膚にハリと潤いを与える役割をしています。
現在、スキンケア化粧品に配合されているヒアルロン酸は、分子が小さいものから大きいものまであります。
詳しくは、サイトな記事「ヒアルロン酸の種類・分子の違いによる選び方・メリット・デメリットとは?」で紹介しています。

☆プロテオグリカン・・・1gで最大6Lもの吸水するヒアルロン酸に比べて約30%も高い吸水力を持ちます。タンパク質(プロテイン)と多糖類(グリカン)の複合体(プロテオグリカン)で、「糖タンパク質」のひとつです。糖の持つ水親和性により、多量の水を保持することができます。細胞と細胞の間を満たして、保水しながら、緩衝材の役割を果たす成分です。
☆リピジュア®・・・約2,000個の分子が化学結合し保水性に優れたうるおいのベールをつくると言われています。しかも、水洗い後1時間経過した乾燥時でも高い保湿力を維持し、その保湿力はヒアルロン酸の約2倍に値します。角質層内に浸透することで、角質層のバリア機能が補強されます。
☆サイタイエキス・・・「天然のヒアルロン酸」と呼ばれるほど保水力に優れています。
☆サクラン® ・・・ヒアルロン酸の5倍の保水力があります。1gで最大6Lもの水分を保持でき、「保水ヴェール」のバリア機能で、外的刺激から肌を守ってくれます。
☆セラミド・・・肌の角質層内の細胞と細胞の間にある脂質ですが、ヒューメクタントとして働くこともあります。
【保湿力をサポートする成分】
レチノール・・・栄養素ビタミンA₁としてよく知られている油溶性(脂溶性)の有機化合物ですが、肌の「表皮ヒアルロン酸」合成促進による抗シワ作用が認められています。
ライスパワー№11・・・皮膚に水分を保つために重要な「セラミド」を自ら増大させる働きがある唯一の医薬部外品。(※詳しくはサイト内記事「ライスパワーとは?」をご覧ください。)
まとめ
消費者としては、成分表を見ることで、肌の上で皮脂の代わりをする効果か、
それとも、乾いたインナードライ肌・乾燥肌に潤いのもととなる水分を与えたいのか?
区別をしながら、自分の肌に足りないものを選ぶようにすると、スキンケア商品の効果を最大限に実感できることだと思います。
評判の”人気の保湿クリーム”が自分の肌に合わない場合、商品に問題があるのではなく、あなたの肌への保湿に欠かせない成分の選択を間違っているだけなのかもしれません。
その場合、
次の異なったスキンケアを選ぶ時に、再び、同じ効果の成分のものを選んでしまうと、また肌に物足りない!
ということにもなりかねませんよね。
保湿力をカバーしたいスキンケア商品を選ぶ時には、このようなメインの保湿成分の性質を把握したうえで探すようにすると、
早く、お悩みから解放される近道になるかもしれません。